寝室のドアを開けると、眩しいのは日差しだけではなくて、ベッドでまだ眠っている静雄さんの金色の綺麗で僕は少しだけ目を細める。

「ん……」

顔をのぞき込むようにベッドの端に腰掛けると、やっぱり綺麗なブラックチョコレート色の睫が揺れる。

この後に見れるのは、宝石のような琥珀の瞳。

「おはようございます」

「みか………、はよ」

寝起きのぼんやりとした声が可愛い。

ああ、僕の大好きな人なんだなぁと思う。

「…はや、おきだな」

今日はお休みで、いつもはもっとゆっくりとぬくぬく眠っている。

(………、昨日は、した、し)

誕生日だからと自分の恥ずかしい姿を思い出して、頬が熱くなる。

熱がこもる頬に大きな雪色の手が触れて、長い指先がこめかみを撫でる。

優しいふれあいに小さく目蓋を伏せて味わう。

「体、大丈夫、か」

「はい」

「無理して、悪かったな」

「ううん、しあわせ、だから」

静雄さんの気遣いは嬉しいけれど、謝って欲しくない。

確かに腰は痛いし、何かもぞもぞするけれど、これは嬉しい感覚なんだ。

首を横にふるりと揺らすと、琥珀の瞳が穏やかに細くなる。

「そうか」

「でも、昨日静雄さんにおめでとう言えなかったから、どうしても一番に言いたくて」

「みかど、」

今日の早起きはちょっと辛かったけれど、どうしても静雄さんに、一番最初におめでとうございますを伝えたかった。

お昼まで眠っていたら、新羅さんやセルティさん、トムさんからおめでとうの連絡が来てしまうかもしれない。

「お誕生日、おめでとうございます。・・・今年も、一年間元気でいてください」

体を伸ばして、額にキスを落とすと、長い腕が僕の体を捕らえて、ベッドの中に引き込まれる。

そのままぎゅっと抱きしめられて、僕も広い背中に腕をまわす。

「帝人がいてくれれば、ずっと元気だ」

たくさんの愛が詰まっている短い言葉。

世界中で一番安心の出来る、暖かい胸の中で静雄さんの心臓の音と一緒に聞いた。






(お誕生日おめでとう、静雄さん/END)