拍手ありがとうございました!
お礼SSS(新婚静帝)です。






仕事をあと一件残す時間になると、池袋が賑やかになり始めてくる。

手を繋いで楽しそうにしている奴らを見ると、仕事中なのに羨ましいと思っちまう。

(帝人……何してっかな)

スラックスから携帯を取り出して、時間を見ると丁度夕飯の支度をしている頃だと想像して顔が緩む。

小さな帝人の体がちょこちょこキッチンを忙しなくてきぱきと動き回るのを見てるのが、好きだ。

たまに首をかしげたり、味見をして口元で小さく笑ったり逆に困った顔したり、とにかくすげぇ可愛い。

「………お」

手の中で携帯が震える。

(メール………帝人…!)

「トムさん」

「んー?どうした静雄」

「ちょっとメール見てもいいっすか」

「ああ。帝人ちゃんか」

「はい」

トムさんが沸きに立ち止まって煙草を取り出したのを横目で確認して、帝人からのメールを開く。

俺たちが新婚なのを知っているトムさんは仕事中でもこうやって目を瞑ってくれる。






『お仕事ご苦労様です。今日は冷やし中華ですがさくらんぼがありません。スーパーで買ってきてください』






(くそ………っ)

可愛いすぎて、携帯にごつごつ額をぶつけちまう。

このまま続けると画面が割れちまう。

帝人の可愛いメールや画像があるのに勿体ねぇ。

(ん……?)

もう一度メールを見ると、スクロールの後に文章が残っている。

(………あと、プリンは買ってきちゃ、駄目ですよ……)

心の中で復唱して、苦笑いしちまうのはいつも帝人に叱られているから。

俺は甘いものはそんなに好きじゃねぇから、プリンは帝人への土産だ。

可愛いけれど、帝人はすごくしっかりしている。

『無駄遣いは、だめ!ですっ』

ぷりぷり柔らかい頬をリスのように膨らませて、ピンク色に染める。

噛んだらやっぱり柔らかい人差し指をびしりと突きつけて、ちょっとだけ胸を張って言う姿はやっぱり可愛い。

それを見たくてプリンを買う理由も、ある。

言ったら可愛いを通り越して帝人を怒らせちまうから、言わない。

(とりあえず、仕事が終わったらスーパー、だな)





(平和島家の日常オワリに続く)