拍手ありがとうございました!
お礼SSS(静雄視点)です。






初めて会った時は春だから、制服姿はブレザーだった。

隣にいた女よりも細くて、小さくて、柔らかそうだった、……いや、実際そうだと今は知っている、が。

(……これは、やべぇ)

思わず顔を手で覆う。

顔が熱くなり始めやがった。

原因は、……目の前の、こいつだ。

「……しずお、さん?」

真っ白なシャツ、しかも、薄い。

袖から伸びてるクリーム腕の折れそうな腕が、美味そうに見える。

首元も開きすぎだ、缶詰の桃みたいな色、してやがる。

自分も着ていたはずの同じ制服なのに、なんでこんなに違ぇんだよ……ッ。

池袋の夏の熱気のせいでやられてんのか、俺の脳味噌。

幾ら帝人に会ったといえ、何で道端で盛ってんだ。

「どうしたんですか、静雄さん?」

「……何でもねぇ」

「でも…、何か、変です」

「変じゃねぇよ」

(んな目で見るんじゃねぇ…ッ)

大きな黒い目が真っ直ぐに俺だけを見る。

見上げれば、首元がもっと広がる。

「ッ、」

「しずおさん?」

ごくりと唾を飲み込んじまう、甘そうなそれが、しっかりと見えちまった。

「やっぱり、変です、絶対」

「……変じゃねぇって言ってるだろうが」

「だって、」

(……くそ…ッ)

暴力は抑えられねぇが、忍耐力には自信があったのによ。

「しずお、さん」

腕が勝手に伸びる。

美味そうな帝人を、捕まえて、食っちまうために。



夏服/END