静雄の恋人?
ああ、知ってるよ。
あの高校生に見えない、小さい男の子だろう。
そりゃあ、驚いたさ。
静雄は女に興味を示すことはほとんどなかったけど、そっちの気があるとも感じなかったしな。
まぁ、あれだ、あの子だけが特別なんだろうよ。
あの歩く人間凶器が、あの高校生の隣では標識をぶち抜かずガードレールも壊さずに笑ってるんだぜ。
何言われても。
それに、俺にも紹介してくれたしな。
初めてだよ、静雄の恋人に会ったのは。
ビクついている子を俺の可愛い恋人です、って守るように肩を抱きながら、な。
よろしくお願いしますって俺に向かって頭を下げるその子を見ている静雄の目は結構長い付き合いの俺でさえ、驚いた。
本当に大切なものを見る目、だったからよ。
ああ、好きなんだなぁ、この子のことって、感じた。
俺は正直静雄にはそういう奴は一生現れねぇんじゃないかって思ってた。
あいつが想っていても、相手がビビッて逃げちまう。
だから、あいつは想うことをもうやめちまってた。
あの小さな高校生は違うんだろうよ。
静雄の想いを受け止めて、小さな体で同じぐらいの気持ちを返してんだ。
そうじゃなきゃ、静雄があんな目しないぜ。
良かったと心底思うよ。
可愛い後輩にようやく春が来て。
願わくば、ずっと一緒にいてやってほしいね。
そうすれば静雄の怒りもちったぁ収まるだろうしな。
(二人への視線ver.トムさん/END)